2) 特許商標庁(USPTO)

[注意:ここに記載されている内容は、2011年9月16日に署名された米国特許法の改正の内容を含んでおりません。]

今回は米国の特許商標庁(USPTO: United States Patent and Trademark Office)について説明します。

USPTOの構成

  • USPTOの(特許)審査官は約6200人(2009年度)
  • 審査部門は9つのTechnology Centerに分かれている

出願の受理~審査官に届くまで

  • 出願が受理されると、その出願はOffice of Initial Patent Examinationに送られる。ここでは、出願が以下の要件を満たしているかが検査され、要件を満たす場合には出願番号と出願日が付与される。
  • 出願日が認められるための条件 (37CFR1.53(b))
    • 明細書
    • 少なくとも1つのクレーム
    • 必要な図面

    その後、クレームの検討が行われ、予備的な分類(preliminary classification)と適切なTechnology Centerが決定される。これは技術的知識を持たない事務員によってなされるので、出願が間違った技術分野に送られることも少なくない。

  • 出願が審査官に送られる前に、Security Technology Centerによって出願が国家安全または原子力に関わるものであるかが検査される。出願がこれらに関わるものである場合、Security Technology Centerがこの出願を扱う。
  • ここまでのプロセスが完了するまでに概ね2ヶ月から6ヶ月を要する。
  • Technology Centerが出願を受け取ると、Supervisory Primary Examiner (SPE)により出願が特定の審査官に割り振られる。
  • 出願にはバーコードラベルが貼られている。出願書類がUSPTO内を移動するたびにコンピュータシステムにその場所が入力され、トラッキングできるように なっている。

審査官による審査

  • 新しい出願が審査官の元に送られると、審査官が担当する書類の山の最後に入れられ、審査官は山の一番上の書類から順番に審査を行う(先入れ先出し)。この 出願が実際に審査官によって審査されるまでに数ヶ月かかる。
  • まず、審査官は出願が適切に分類されたものであるかを判断する。適切に分類されたものでない場合、他のTechnology CenterまたはArt Unitに送られ、新たな審査官の下で出願日順で処理される。

審査官による審査の実際 -Count System-

  • 審査官が処理した件数などの仕事の状況は2週間ごとに集計される。
  • 所定の条件を満たすことにより審査官にカウント(count)を与えるCount Systemを採用している。このカウントは審査官の能力の判断や評価に用いられる。
  • 2010年2月に新しいCount Systemが導入され、countは以下の条件で付与される。
    • 1st Office Actionを出したとき:1.25カウント
    • Final Rejectionを出したとき:0.25カウント
    • 最終処分が決まったとき:0.5カウント(Final Rejectionが出されることなく最終処分が決まったときは0.75カウント)
  • カウントは年度末(9月末)に集計され、その年の審査官の評価に使用されるので、審査官には年度末前までカウントを稼ぎたい(すなわち Notice of Allowanceを出す)という心理が働くことも考えられる。

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