知財コラム

米国特許訴訟の概要

今回から米国における特許訴訟に関していくつかのポイントを解説していきたいと思います。

米国には連邦裁判所と州裁判所という2つの裁判所体系がありますが、特許法が連邦法として規定されている関係から、特許訴訟は基本的に連邦裁判所が取り扱うことになっています(28 USC § 1338)。

第一審の裁判所は連邦地方裁判所であり、第一審の判決に対する上訴審は連邦巡回控訴裁判所(Court of Appeals for the Federal Circuit(CAFCと略される))で行われます。このCAFCは、ワシントンDCにあり、各州の連邦地裁の判決を集約する役割を有しています。

米国における特許訴訟で特徴的な点を挙げると以下のようになります。

陪審制度

米国憲法において陪審裁判を受ける権利が認められていることから(修正第7条)、特許訴訟においても原告は陪審裁判を求めることができます。

陪審員は一般人から選ばれますが、どのような人が陪審員になるかによって裁判の結論が大きく変わり得ますので、米国では陪審員の選定をアドバイスする専門の業者も存在します。また、陪審員の構成はその土地の住民によって変わりますので、どこの裁判所に訴えを提起するかも重要な要素となってきます。

ディスカバリ制度

ディスカバリは、トライアル前に原告と被告が裁判所外で事件に関する情報・証拠を開示し合うものです。このディスカバリは、真実を明らかにすることによって争点の整理や明確化、和解による早期解決を促すことを目的としていますが、一方で当事者の人的負担・経済的負担が大きいことでも知られています。

ディスカバリに関する規定や規則に違反した場合には、敗訴や高額な賠償金の支払いなど非常に厳しい制裁が科される可能性があります。それだけに、ディスカバリは当事者にとって大きな負担となっており、ディスカバリに要する費用も高額になっています。

このディスカバリについては別途詳しく解説したいと思います。

懲罰的賠償制度

米国では、被告の行為が悪質である場合には、被告に対する懲罰と抑止効果を目的として、通常の損害賠償に加えて懲罰的賠償が認められていますが、特許法には、裁判所が損害賠償額を3倍まで増額できる旨の規定があります(35 USC § 284)。この規定により、故意侵害(willful infringement)であると認定されてしまうと、賠償金が3倍にまで増額される可能性が出てきます。

また、悪意で訴訟が提起された場合など、事案が「例外的」であると認められる場合には、裁判所の裁量により、敗訴者に相手方の弁護士費用の支払義務が課されることがあります(35 USC § 285)。

この懲罰的賠償についても別途詳しく解説したいと思います。

 

 

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